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朝顔の道で、ふたりは立ち止まった
夏の朝。縁側から顔を出した姉が、風鈴の音に耳をすませていた。
妹は、朝顔の咲く道を歩いてきて、ふと立ち止まる。ふたりはまだ、何も言わない。
風が、ふたりの会話を始めた
うちわの音、風鈴の揺れ、金魚鉢の水の音。
ことばじゃないけど、
ふたりの間に“何か”が流れていた。
まるで、風が話しかけてるみたいに。
声にしない「わたしも、そう思う」
ことのはさんの世界では、
“わかる”ことが、ことばになる前に伝わる。風の音も、立ち話も。
それは、ちゃんと響いている。
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