2020年代風アニメ– tag –
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声をかけなかった夏
駄菓子屋の前、いつもの夏 「駄菓子」と書かれた布看板の向こうで、ビー玉がカツンと鳴る。あの午後、あの空気。静けさの中に、夏の音が溶けていた。 声に出さなかった「なにしてるの?」 女の子はただ立っている。後ろ手に手を組み、ちょっと迷って、ちょ... -
すれちがう声を、風が運ぶ。
木造の平屋にぶらさがる、ひとつの風鈴。音は鳴っていないのに、聞こえた気がした。 彼はまっすぐ前を向いていた。彼女は少しだけ、振り返っていた。二人の間には、言葉ではない何かが、確かに通っていた。 この道は、何度も一緒に歩いたはずなのに。今日... -
いまの私たち
もう比べるの、やめたんよ。 どっちがしっかりしてるとかどっちがムードメーカーとかどっちが損してるとか、得してるとか。 言い出したらきりがないし、たぶん、どれも半分くらいしか当たってない。 気がついたら、並んで立ってた。目の前の景色は同じ... -
音のない音を聴く
風の中に、ことのははある 言葉じゃなくて、風が伝えてくれる日がある。うちわの音、簾の揺れ、風鈴の響き。 この午後、ふたりの時間は音でできていた。 誰もしゃべらない、でも伝わってる 姉は空を見上げ、妹は金魚を見つめてる。 同じ場所にいながら、同... -
ことばのない午後に
春の河原で、たったひとつのやりとり 花びらが風に舞う川べりで、少女たちはほとんど言葉を交わさなかった。 けれど、その手の動きと、目の奥にあるものが、すべてを伝えていた。 「差し出す」という行為が、いちばんやさしいことば おにぎりを渡す姉の手...
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