音のない音を聴く

夏の日の大正姉妹
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風の中に、ことのははある

言葉じゃなくて、風が伝えてくれる日がある。
うちわの音、簾の揺れ、風鈴の響き。

この午後、ふたりの時間は音でできていた。

誰もしゃべらない、でも伝わってる

姉は空を見上げ、
妹は金魚を見つめてる。

同じ場所にいながら、
同じものを見てないのに、
同じ空気を吸っている。

「静けさ」も、ことのはのひとつ

ことのはさんの世界には、
静けさもひとつの“は”として在る。

夏の午後の、風鈴が鳴った“あとの余韻”。
そこにあるのは、見えないことばやねん。

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