目次
春の河原で、たったひとつのやりとり
花びらが風に舞う川べりで、
少女たちはほとんど言葉を交わさなかった。
けれど、その手の動きと、目の奥にあるものが、
すべてを伝えていた。
「差し出す」という行為が、いちばんやさしいことば
おにぎりを渡す姉の手と、
花びらを受け取る妹の手。
そのあいだには会話もなければ、説明もない。
でも、「ありがとう」「おかえり」「よかったね」
きっとそんな気持ちが静かに行き交っていた。
言葉の前にある、ことのは
ことばは、あとからついてくるもの。
先にあったのは、風の音と、光の色と、
なにより、ふたりの時間だった。
こうして「ことのはさん」は、
今日もまた、誰かの中の静かな午後を思い出させてくれる。
コメント