十勝ポロシリ岳の裾野に広がる緑の絨毯の上で、着物姿の姉妹が静かに佇んでいます。風が頬を撫でていく午後、981ヘクタールという果てしない牧草地は、まるで空と溶け合うかのように広がっています。
大地に刻まれた時間
八千代公共育成牧場は、昭和57年(1982年)に完成した道内有数の公営牧場です。東京ドーム約210個分という広大な土地に、夏には約1,550頭の乳牛と約70頭の馬たちがのびのびと暮らしています。
姉が風に揺れる着物の袖を直しながら、妹の様子を見守っています。二人の間に流れる静寂は、この大地が長い年月をかけて育んできた穏やかな時間そのもの。言葉を交わさなくても、風の音、草のざわめき、遠くで鳴く牛の声が、自然のオーケストラとなって心に響いてきます。
季節を彩る牧場の営み
八千代公共育成牧場の魅力
- 住所: 北海道帯広市八千代町西4線187-1
- 総面積: 981ヘクタール(草地面積742.6ha)
- アクセス: JR帯広駅から車で約45~50分
- 見学: 無料(駐車場完備)
牧場では四季を通じて様々な表情を楽しむことができます。春には新緑が芽吹き、夏には青空の下で牛や馬たちが気持ちよさそうに草を食み、秋には黄金色に染まった牧草地が美しく、冬には雪景色の中で約600頭の牛たちが静かに過ごしています。
体験と憩いの場
牧場内には畜産研修センター「カウベルハウス」があり、レストランでの食事や宿泊も可能です。畜産物加工研修センターでは、ハム・ソーセージ作り体験や羊毛加工体験を通じて、牧場の恵みを直接感じることができます。
毎年6月頃に開催される「八千代牧場まつり」では、多くの家族連れで賑わい、牧場が育む豊かな自然と人々の笑顔が出会う特別な時間が生まれます。
風に託した想い
姉妹が見つめる先には、なだらかに続く十勝の大地が広がっています。この場所で育まれてきた命の営み、人々の想い、そして今この瞬間に感じる静かな感動。
妹が小さくつぶやいた言葉が風にさらわれていきます。姉はそっと微笑みながら、同じ風を感じています。
八千代牧場は、そんな小さくても大切な想いを、優しく包み込んでくれる場所なのかもしれません。広い空の下で、あなたも心の中の静かな声に耳を傾けてみませんか。
施設情報
- 畜産物加工研修センター: 9:00~17:00
- 定休日: 月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
- 問い合わせ: 0155-60-2747
- 管理: 株式会社帯広市農業振興公社
パークゴルフ場もあり、自然の中でのんびりとしたひとときを過ごすことができます。
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