夕陽に包まれて〜旧室蘭駅に響く子どもたちの笑い声

2025年9月16日2025年9月17日

夕陽に包まれて〜旧室蘭駅に響く子どもたちの笑い声

オレンジ色の夕陽が木造の駅舎を優しく包み込む頃、旧室蘭駅の前では今日も子どもたちの元気な声が響いています。地面に座り込んで何やら夢中になっている小さな姿たちは、まるで時代を超えた絵本の一場面のようです。

時を刻み続ける駅舎の記憶

1912年（明治45年）から110年以上もの間、この駅舎は数え切れないほどの出会いと別れを見つめてきました。三角破風の屋根窓に取り付けられた時計は、今もゆっくりと時を刻み続けています。その針が示す時間の中で、何世代もの子どもたちがこの場所で遊び、笑い、成長していったのでしょう。

夕暮れの柔らかな光に照らされた駅舎は、白漆喰の壁が温かな黄金色に染まり、まるで古い写真の中から抜け出してきたかのような美しさを放っています。「がんぎ」と呼ばれるアーケード様式の軒下は、子どもたちにとって格好の遊び場となっているようです。

子どもたちが地面で遊んでいるのは、おはじきでしょうか、それともビー玉でしょうか。スマートフォンもゲームもない時代から受け継がれてきた、シンプルで純粋な遊びです。膝をついて一心不乱に遊ぶ姿は、まさに子ども時代の宝物のような瞬間を切り取っています。

そっと見守るように立つ赤いポストも、この風景には欠かせない存在です。丸い形の懐かしいポストは、きっと多くの人々の想いを運んできたことでしょう。子どもたちからの絵手紙、遠くに住む祖父母への便り、初恋の人への手紙…。

旧室蘭駅舎の夕暮れ散策

夕暮れ時の旧室蘭駅は、昼間とはまた違った表情を見せてくれます。オレンジ色の空に映えるシルエットは、室蘭の工業地帯の向こうに沈む夕陽と相まって、息をのむほど美しい光景を作り出します。

夕暮れの散策を楽しむなら、旧室蘭駅舎を起点にした黄昏時のコースがおすすめです。

室蘭港: 駅舎から徒歩10分。工業港に沈む夕陽は、室蘭ならではの力強い美しさがあります。

測量山展望台: 車で15分。室蘭市街の夜景と工場群のライトアップを一望でき、マジックアワーの絶景スポットとして人気です。

白鳥大橋: 車で20分。ライトアップされた橋は、夜の室蘭を代表する美しい光景です。

子どもたちが遊ぶこの風景は、きっと何十年後かに振り返った時、「あの頃は良かったなあ」と懐かしく思い出す光景になることでしょう。旧室蘭駅舎は、そんな大切な記憶を静かに見守り続けています。

夕暮れ時に室蘭を訪れたら、ぜひこの駅舎の前で少し立ち止まってみてください。110年の歴史が紡いできた物語と、今この瞬間に生まれている新しい記憶が、きっとあなたの心に温かな感動を届けてくれることでしょう。

旧室蘭駅舎基本情報

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