目次
縁側の午後、ことばの代わりに
夏の午後。縁側に座った姉は、うちわで風をつくっていた。
妹は黙って、その音を聴いていた。風鈴の音が、ふたりの間に揺れる。
まるで、何かの“返事”みたいに。
話さなくても、届けられること
「さっき届いた手紙、まだ返事を書いてない」
そんな空気が、ふたりの間にあった。でも、金魚がゆらいで、簾が揺れて、
声じゃないものが、返事をしていた。
言わないからこそ、残るもの
ことのはさんの世界には、
ことばにならない手紙がある。風と光と、少しの沈黙。
それはときどき、いちばん心に届く返信かもしれない。
あわせて読みたい


音のない音を聴く
風の中に、ことのははある 言葉じゃなくて、風が伝えてくれる日がある。うちわの音、簾の揺れ、風鈴の響き。 この午後、ふたりの時間は音でできていた。 誰もしゃべらな...
あわせて読みたい


風の音と、立ち話
朝顔の道で、ふたりは立ち止まった 夏の朝。縁側から顔を出した姉が、風鈴の音に耳をすませていた。妹は、朝顔の咲く道を歩いてきて、ふと立ち止まる。 ふたりはまだ、...
あわせて読みたい


あの頃の声がした
遠くの風鈴が、時間を巻き戻す 姉は、うちわを仰ぎながら、ふと風鈴を見上げた。妹は、蚊取り線香の煙を見つめていた。 ふたりのまわりに、静かな午後が流れていたけれ...
コメント