2025年– date –
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風のうた〜八千代牧場に響く姉妹の想い
十勝ポロシリ岳の裾野に広がる緑の絨毯の上で、着物姿の姉妹が静かに佇んでいます。風が頬を撫でていく午後、981ヘクタールという果てしない牧草地は、まるで空と溶け合うかのように広がっています。 大地に刻まれた時間 八千代公共育成牧場は、昭和57年(... -
夕陽に包まれて〜旧室蘭駅に響く子どもたちの笑い声
夕陽に包まれて〜旧室蘭駅に響く子どもたちの笑い声 オレンジ色の夕陽が木造の駅舎を優しく包み込む頃、旧室蘭駅の前では今日も子どもたちの元気な声が響いています。地面に座り込んで何やら夢中になっている小さな姿たちは、まるで時代を超えた絵本の一場... -
夏風に誘われて〜旧室蘭駅に佇む姉妹の物語
夏の陽射しが木造の駅舎に優しく降り注ぐ午後、旧室蘭駅の前で浴衣姿の姉妹が静かに佇んでいました。青と白の縞模様が風に揺れ、時が止まったかのような穏やかな瞬間が広がります。 時を越える駅舎の記憶 1912年(明治45年)に建設された旧室蘭駅は、北海... -
声をかけなかった夏
駄菓子屋の前、いつもの夏 「駄菓子」と書かれた布看板の向こうで、ビー玉がカツンと鳴る。あの午後、あの空気。静けさの中に、夏の音が溶けていた。 声に出さなかった「なにしてるの?」 女の子はただ立っている。後ろ手に手を組み、ちょっと迷って、ちょ... -
すれちがう声を、風が運ぶ。
木造の平屋にぶらさがる、ひとつの風鈴。音は鳴っていないのに、聞こえた気がした。 彼はまっすぐ前を向いていた。彼女は少しだけ、振り返っていた。二人の間には、言葉ではない何かが、確かに通っていた。 この道は、何度も一緒に歩いたはずなのに。今日... -
いまの私たち
もう比べるの、やめたんよ。 どっちがしっかりしてるとかどっちがムードメーカーとかどっちが損してるとか、得してるとか。 言い出したらきりがないし、たぶん、どれも半分くらいしか当たってない。 気がついたら、並んで立ってた。目の前の景色は同じ... -
あの頃の声がした
遠くの風鈴が、時間を巻き戻す 姉は、うちわを仰ぎながら、ふと風鈴を見上げた。妹は、蚊取り線香の煙を見つめていた。 ふたりのまわりに、静かな午後が流れていたけれど、どこかで“懐かしい声”がした気がした。 ことばじゃない、でも届いてた 鳴ったのは... -
声にしない手紙
縁側の午後、ことばの代わりに 夏の午後。縁側に座った姉は、うちわで風をつくっていた。妹は黙って、その音を聴いていた。 風鈴の音が、ふたりの間に揺れる。まるで、何かの“返事”みたいに。 話さなくても、届けられること 「さっき届いた手紙、まだ返事... -
風の音と、立ち話
朝顔の道で、ふたりは立ち止まった 夏の朝。縁側から顔を出した姉が、風鈴の音に耳をすませていた。妹は、朝顔の咲く道を歩いてきて、ふと立ち止まる。 ふたりはまだ、何も言わない。 風が、ふたりの会話を始めた うちわの音、風鈴の揺れ、金魚鉢の水の音... -
音のない音を聴く
風の中に、ことのははある 言葉じゃなくて、風が伝えてくれる日がある。うちわの音、簾の揺れ、風鈴の響き。 この午後、ふたりの時間は音でできていた。 誰もしゃべらない、でも伝わってる 姉は空を見上げ、妹は金魚を見つめてる。 同じ場所にいながら、同...
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